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何が嫌いかよりも何が好きかで自分を語る、そんなブログ
Posted by - 2024.11.22,Fri
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Posted by ぬれd - 2008.06.05,Thu
「僕に何かあった場合は家のハードディスクをぶっ壊してください」

有機化学の実験室は火気厳禁です。

なにせヘキサンだのエーテルだのと引火しやすいものばかりつかっているわけで
これらが気化して実験室中に充満すれば即座にドカンです。
ですから加熱する場合はオイルバスを使って電気でやっちゃうわけです。

さてその一方で有機化学実験ではよく火が用いられます。
キャピラリーを作るには火は必須ですし
アンプル管(薬とか入ってそうなガラス容器)を閉じる際にも火を使います。

昨日の晩のことでした。
どうしても原料の合成でエチレンオキシドが必要だった私は
とあるメーカーに注文して届けてもらいました。
届いたのはアンプル管に入った冷凍保存の溶液。

それもそのはずでエチレンオキシドの沸点は11℃。常温では気体です。
ほっておいたらどんどん気化しちゃうこまったさん。
さらに三角形という無理のある構造のため反応性は高いです。

ここで重要なのはこの溶液がアンプル管に入っていたということ。
アンプル管は使い捨てなのでもしあければ新たな管に入れて火で閉じなければなりません。

そんなのイヤ過ぎます。なにが悲しくてエチレンオキシドが気化しまくる中
その入り口を火であぶらなきゃならないんでしょうか。
でもやるしかありません。最悪の場合爆発して死亡もありえます。

実験室の離れた場所にいる先輩に悲壮な表情でこう伝えます。
私に万が一のことがあった場合は、机に家の鍵が入っているので
これを使ってハードディスクをぶっ壊してくれ、と。
ついでにより危険な外付けディスクも忘れずに破壊してもらうよう伝えます。

これでいつ死んでも大丈夫。
なわけがありません。やっぱり死ぬのは怖い。手が吹っ飛ぶのだってイヤです。
最終的にエチレンオキシド溶液を全部使うことで
保存せずに済ますという荒業で事なきをえたわけですが
あの時の緊張感といったらありませんでした。実験に危険はつきものです。

我々は常に危険ととなりあわせで実験している、
そんな事実を再確認しました。

ついでに今死んだら間違いなく不名誉なものが残る
そんな事実もまざまざと思い知らされる結果となりました。特に外付け。

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